蕎麦 豆知識
蕎麦に関する豆知識をまとめました。蕎麦の栄養面、料理文化的側面など多岐にわたって紹介していく予定です。


ルチン(ruchin)とミネラル(mineral)

The RUMINEの語源となっているルチンとミネラル。ご存じの通り、蕎麦にはルチンが豊富に含まれていますが、どのような効能があるのでしょうか。ルチンは柑橘フラボノイド配糖体の一種で、血管の老化を防止し血圧を下げる効果があることから高血圧や血管障害のある方には良いとされています。さらに最近の研究では、血糖値の降下作用、すい臓機能の活性化作用などもあると報告されているとのこと。

それでは、含有量はどうなっているのでしょうか。蕎麦のルチン含有量は栽培条件によって変化し、日照時間の長さに比例するといわれています。日照時間の長い時期の夏そばの方が秋そばよりも多く、南方のそばの方が北方のそばよりも多いという傾向にあるそうです。さらに、蕎麦の実の外側の方が多いので、御膳蕎麦(一番粉)よりも田舎蕎麦(三番粉)の方が豊富にルチンが含まれていることになります。

栽培条件によって変化するとはいえ、一般的に蕎麦のルチン含有量は100g当たり5mg程度といわれています。これは他の食材と比べて高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。蕎麦以外でルチンが豊富な食材の代表格として、アスパラガスが挙げられます。アスパラのルチン含有量も日照時間に左右されるのですが、旬(5月)の露地栽培では60mg/100g以上らしいです。蕎麦負けている…。しかし、蕎麦の中でも特にルチン含有量が多い韃靼蕎麦は、通常の蕎麦の100倍とも120倍ともいわれています。

ここで気になるのは、ではどれだけのルチンを摂取すれば健康効果が表れるのかということです。ちょっと調べてみましたがWikipediaでは「ヒトの栄養補助食品としてのルチンの有意で好ましい効果を直接的に証明する臨床研究は存在しない。」と書いてあります。結局よく分からないですね

ちなみに昔から蕎麦のルチンは茹でる際に溶け出すので蕎麦湯を飲むと効果的に摂取できるとされていましたが、実際は数%程度しか溶けていないということが分かってきたそうです。

次はミネラルの話です。以前どこかのお店で「蕎麦にはカルシウム、カリウムなどのミネラルが多く含まれていますので、お子様の成長には…」」というような能書きを見かけたことがあるのですが、本当のところどうなのでしょうか。調べたところ、カルシウムの多い食品ベスト32には入っていない…。茹でた蕎麦は9mg/100gらしい。少ない…。

きっとカリウムが多いのではないでしょうか。カリウムの多い食品ベスト32には…やはり入っていない。茹でた蕎麦は34mg/100g。こちらも相当少ない。亜鉛は穀物の中では多い方ですが、それでも牡蠣やレバーと比べると圧倒的に少ない。これからThe RUMINEは「チンをんなで摂取しよう」の意味ということにします。



蕎麦は消化にいいのか、悪いのか

「蕎麦を食べるとすぐに小腹が減ると言いますが、それは蕎麦にはジアスターゼ(アミラーゼ)が含まれているため消化に良く…」というような能書きを見かけたことがあり、当時よくこのことを吹聴していました。しかしその後某テレビ番組で「そばに含まれるヘミセルロースという食物繊維が消化を妨げるためうどんパスタ等他の麺類に比べ腹持ちがよい」と紹介されていました。さて、どちらが正しいのでしょう。

まず、ジアスターゼについて。「蕎麦にはジアスターゼが含まれている」。これは勘違いで、蕎麦でんぷんはジアスターゼにより消化されやすい、ということらしいです。つまり、蕎麦単体では消化はよくないけど、おろし蕎麦、とろろ蕎麦など、ジアスターゼが豊富な食品と組み合わせれば消化にいいとなります。

結論としては、基本的には蕎麦よりも小麦麺(特にグルテンを含むうどん)の方が消化にいいということです。そういえば風邪をひいた時にうどんをよく食べますよね…。胃がもたれている時などはそばは避けた方がよいでしょう。でもその代わり食物繊維による整腸効果がありますので、お通じがなく困っている人は積極的に食べましょう。



そばをめでたい席でふるまう理由

引越しや結婚式等でそばをふるまわれることがあります。昔金箔職人が床に落ちた金のくずを拾うのにそばをお湯で溶いたものを使ったことからめでたいことに使われるようになったという説をとあるそば屋さんで見かけました。あらためて調べると、金箔の話は年越し蕎麦の起源に関する説のようです。

引越し蕎麦について「お側(お蕎麦)に末永く」というような意味を込めているのですが、もともとは小豆粥などを配っていたのですが、小豆が高価なため、安価な蕎麦に変わったことが起源のようです。その他、結婚式などで振る舞われる祝い蕎麦などについては、地方によっていろいろと風習があるようです。



そば文化が関西方面で発展しなかった理由

そばの実は三角形なので「そばを食べると御門(三角)を食す」としてご法度とされ、京に近い関西方面ではそば文化は発展しなかったという説を目にしたことがあります。信憑性は定かではありませんので、いずれちゃんと調べてみるつもりです。