4月24日 (日)  

ミセスXあらわる

夜7時だった。ストレッチャーに乗せられて70代と思しき女性がこの病室に運ばれて来た。次に家族全員で「おばあちゃん」の心配をして病室に入って来た。右の大腿骨を骨折したようだ。ミセスXは家族がいるうちから「おしっこが出たいからトイレに行かせて」と何度も言う。その度にナースが「バルーンが入ってるので、安心して出していいですよ」と答えていた。

問題は家族が帰った真夜中、というかナースが勤務交替したから丑三つ時から夜明け前、「お父さん、熱いから頭のポットをどかして。私、いつも2階の和室で寝てるの」と訳のわからないことを繰り返し言う。小さな声なのだが、寝言ではなく、さっき家族と会話していたように話す。まわりはもちろん家族なんかいない。ポットなんかなく、たぶん熱が出て熱いうえボイラーか空調の音が気になるのだと冷静に分析するが、安眠妨害は安眠妨害(本人に罪の意識はないが)だ。体交の時Uさんだったので、「なんとかして下さいよー」と言った。UさんがミセスXにまだ真夜中だから静かにして下さいと言って、その時は静かになった。