Diary 2005. 4

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4月24日 (日)  

ミセスXあらわる

夜7時だった。ストレッチャーに乗せられて70代と思しき女性がこの病室に運ばれて来た。次に家族全員で「おばあちゃん」の心配をして病室に入って来た。右の大腿骨を骨折したようだ。ミセスXは家族がいるうちから「おしっこが出たいからトイレに行かせて」と何度も言う。その度にナースが「バルーンが入ってるので、安心して出していいですよ」と答えていた。

問題は家族が帰った真夜中、というかナースが勤務交替したから丑三つ時から夜明け前、「お父さん、熱いから頭のポットをどかして。私、いつも2階の和室で寝てるの」と訳のわからないことを繰り返し言う。小さな声なのだが、寝言ではなく、さっき家族と会話していたように話す。まわりはもちろん家族なんかいない。ポットなんかなく、たぶん熱が出て熱いうえボイラーか空調の音が気になるのだと冷静に分析するが、安眠妨害は安眠妨害(本人に罪の意識はないが)だ。体交の時Uさんだったので、「なんとかして下さいよー」と言った。UさんがミセスXにまだ真夜中だから静かにして下さいと言って、その時は静かになった。


4月25日 (月)  

寝不足だ

「今朝のアレ、聞こえた?」と、ミセスXとRayの間のベッドのU山さんが言って来た。U山さんとはこの頃冗談も言い合える仲になっていた。「聞こえたどころじゃないっすって。かなり寝不足で。ポットがどーのこーのって」、「なぜあーいうこと言ってるのかな」、「手術の不安もあるんじゃないですかね」と一応まともなことも言ったが、、、やっぱ寝不足だ。「まっ私はあと2週間我慢すりゃ退院するからいいけどね」とU山さんが冗談っぽく言った。「いいよなー、コッチは少なくてもあと1カ月は一緒ですよ^^;」。まさかU山さんもミセスXと1カ月も付き合うとはこの時は思いはしなかった(爆笑)。
「今夜どうなるか楽しみですね^^;」と、向かいのベッドとU山さんの向こうを差した。「そうだね」とU山さんも苦笑した。ところが向かいのおばあさんは自宅から帰って来てすぐ、内科の個室に転床が決まったらしい。というか・・・(爆笑)、2人もいたらそりゃねー。


4月26日 (火)  

職業柄

ゆうべもミセスXの独り言ではない独り言は続いた。R先生に訳も言わずに「寝不足です」と言ったら、「続くのであれば、薬(安眠剤)を変えてみますか」と言われた^^; そりゃー自分の器は小さいのは認めるけど(爆笑)、他人の独り言で薬を変えるって一体・・・。

そのストレスはFさんにいった。Fさんもイイ時に話題を提供してくれた。
「私、四十肩になっちゃったみたい」
「えー33で四十肩? なんじゃそれ」
「なっちゃったものはしかたがないじゃん」
「でもさー、イイ職場環境なんだから同僚を捕まえて、やってくれと頼めばやってもらえるんじゃないの」
「なんとなくは言ったものの、だめ」
「なんとなくって(笑う)、カンペキに医者の不養生じゃん」
「今日はいつもに増して毒舌!」
「そういえば山梨の病院にすげーでかいPTがいたよ。相撲取りかと思うほどのでかさの」
「うっそー?」
「マジで。きっと職業柄そのPTも患者には『脚に悪いから太ってはいけません』と言ってるんだろうな(爆笑)」。

その時はFさんとの会話だ、ソレでおわったと思っていた^^;


4月27日 (水)  

U山さん動く!

明日はミセスXの人工股関節の手術。「あーいう人に人工股関節の手術をして、外股をキープできんのか」というのが、U山さんとRayの一致した感想だった。素人だし、所詮他人事だ。言いたい放題である。相変わらず独り言ではない独り言は続く。ついにU山さんが動いた。看護師長にミセスXとその向かいの30代と思しき女性と入れ替えてくれと頼んだらしい。「患肢が右ですから、右脚を護るためコチラのほうが私たちが看護しやすいので・・・」と看護師長はミセスXの家族に説明していた。うますぎる、看護師長!
ミセスXと入れ替わった女性はというと・・・、隣にいた糖尿のバーサンを嫌ってたらしく快諾。そりゃそーだろ、勝手にカーテンを開けるし、カーテンの中をのぞき込むし。バーサンは難聴なのでアノ独り言は聞こえないみたいだし、今月末には退院するからね。


4月28日 (木)  

H田さんの災難

お昼すぎ、右足の足首を骨折した女性が車椅子をこいで、Rayの向かいのベッドに入院してきた。H田さんはうちのおふくろと同世代。今朝荷物を持って階段で転んでココの外来にきた。本人はたいしたことないから家に帰るつもりマンマンだったらしい。診察即入院。『病は気から』と言うけど、骨折は病ではないらしい(爆笑)。

また糖尿のバーサンが根掘り葉掘り聞きまくる。そして、「あなた(骨折が)片足だからいいわよ。私なんか両足だから」とか、食事してて「一口50回噛むのよ。満腹感が得られるから」とか何度も言う。あぁ、かわいそうに^^;


4月29日 (金)  

うっそー

昨日手術したミセスXは、今日はもうバルーンをはずし、ベッドから起き上がり車椅子に乗せられトイレに連れて行ってもらう。さすがに人工股関節、自骨を組み直すより動かすのは早い。だけどナースはきつそう。だって「Xさん前に出て来て」と言うと後ろに退くし、「右手でココをつかんで」と言うと左手でつかむ。車椅子の前でミセスXの身体を支えるナースと、車椅子の後ろにいてお尻を回すナース、そしてベッドに上がって背中を押すナースと3人いても、ミセスXが全く反対のことをするので大騒ぎになるのだ。


4月30日 (土)  

年はごまかせない!

おとといあたりに、将来のJリーガー(ユースっていうのか? 高校生)が2人、簡単な脚の手術を受けに入院してきたらしい。17歳。うわーこの前までRayの3倍生きて来た人(ハツコさん)がいたと思ったら、今度は半分かよ。しかもその体育会系の食べ盛りと同じように大盛り食ってるし(爆笑)。

この4月にこの病棟に配属された新人ナースは3人。今日はその中の1人、モンチッチさんの初準夜勤の日。夕飯の時、その高校生の友達が6〜7人ぞろぞろと廊下を歩いて来た。モンチッチさんがRayに食べさせながらこう言った。「今日は若い人がいてドキドキしますね」。「いやー全然」と答えてしまった(爆笑)。21歳のモンチッチさんならドキドキするんだろうけどさ^^;


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